これまでの学校や入試での英語の評価は「文法、長文読解、リスニング(=つまり読む、聞く力)」重視のもので、定期テストは学校の教科書を丸覚えしていれば通用していたかもしれません。ですが大学入試改革の一環で、評価の対象は4技能つまり「読む、書く、聞く、話す力」へと移行しつつあります。また、出題される単語量は、30年前と比べて2~3倍に増加し、入試自体がより難化しています。英語をより実践的に、応用できる力が求められています。
そもそも大学入試改革とは?
大学入試改革は2020年度(最初に実施されるのは2021年の1月から)に開始されます。いわゆる「センター試験」が廃止され「大学入学共通テスト」が実施されるようになります。本格実施となるのは2024年度からで、それまでの4年間は移行期間となり、特に英語の科目では特別な対応となります。
- 2020~2023年度の間(移行期間)は、英語の試験でリスニングとリーディングの割合が2:8から5:5になる。
- 2024年度以降は、民間の4技能試験のスコアが求められ、英語のテストを実施しない可能性が高い。
まず、移行期間でやるべきことは、この共通テストへの対策と大学独自のテスト対策。そして民間の4技能試験。
4技能試験でのスコアはすでに私大の一部で必須、あるいは加点・試験免除と打ち出している大学もあります(詳しくはコチラ)。(2019年11月に文科省が延期したのは、移行期間の共通テストでの活用についてであり、私大の一般受験とは関係ありません。)そのため、目標とするスコアの取得も早いうちに目指したいところです。ただ、提出可能な試験は高2の2月以降に受けたテストのうちの1つ(共通テストでは高3の4月から12月までに受けたテストのうち2つ)です。そのため、高2のうちに一度4技能試験を受けておいて、高3で余裕を持って目標スコアを取れるようにしておくと良いと思います。
4技能試験としては、英検やGTEC、TOEFLなど色々とありますが(→4技能試験比較表)、中でも英検やGTECは比較的安価で、学校が受験会場となることから、受験しやすいと言えます(ただし英検の2次試験は受験会場に行く必要あり)。
次に、共通テストの内容ですが、セクションごとの対応で考えてみましょう。
リスニング
- 読み上げ速度が120wpmから140wpmへと速くなります。(wpm:Words Per Minute=1分あたりの英単語処理数)
- 読み上げ回数が1回の問題も出題されます。
- 話し手は3人より多くなります。
- 非母国語話者(ネイティブスピーカー)でない人も登場します。
- 答えが一つとは限らない問題も出題されます。
- 出題数が増えます。
ネイティブの演説では120wpm、講義や検定試験では140wpm、ニュースでは160~180wpmとされています。集中して正しく聞く力が必要となっています。
リーディング
- 扱う単語数が4,200語から5,400語(約1.3倍)に増えます。
- 発音・アクセント、並び替え問題がなくなってすべて長文問題になります。
- 設問はすべて英語で出されます。
- 答えが一つとは限らない問題も出題されます。
- 出題数が減ります。
wpm が、センター試験では平均60wpmであるため、単純に計算すると約80wpmが必要となります。つまり速く正しく読み、判断する力が必要です。
難化しているのは間違いない
公立の中学校で使われている教科書の語彙数は、以前は900~1,000語でしたが、現在は1,200語、2020年度以降は1,600~1,800語になるとされています。
また、中学卒業程度の英検3級で求められている語彙数は約2,100語です。
新指導要領で小学校で学ぶ語彙数が600~700語なので、検定試験に合格するには、小中学校で学んだ語彙は確実に身につけておく必要があります。
その意識づけのためにも、4技能試験を早いうちから定期的に受けて、自分の力を把握し、その対策を取っていくということが重要です。