先日読み終えた本が橋本 治の『橋本治のかけこみ人生相談』(幻冬舎 2018年)。
うう~ん…と思わずうなってしまうほど、アドバイスが素晴らしい。
手紙で相談を受け、その文面から相談者の気持ちを汲み取り、適確な言葉で答える。
悩んでいたのがアホらしくなるくらい、楽になれる薬をくれる。
目からウロコが落ちる。そんな考え方があったのか~!
と、本当に面白く、いい本だと思います。
ふたつ例を紹介しましょう。
Q1.「聞く耳を持たない年頃の娘にアドバイスをしたい」
A1.「ひとりごとをご活用ください」
→まともに話ができない、話を聞き入れない相手には、面と向かっては何を言っても反感を食らうだけ。それなら相手に聞こえるくらいの声でひとりごとを言う。聞こえてはいるだろうから聞き入れるかどうかは相手次第。
Q2.「人の幸せそうな姿が我慢ならず、そういう人を見ると自分を惨めに感じる」
A2.「幸せそうな人間はみんなバカだ」
→酔っ払いはそのいい例。誰彼かまわず抱きついて、ゲラゲラ笑っているというのは、余計な心配を考えなくていい状態になっているということ。その状態こそが幸せであり、幸福でいられるバカになりたくてみんな酒を飲む。
なるほど~。おっしゃる通りかもしれない。
橋本さんは古典の解説本をたくさん出していますが、
それらからうかがえることを内田樹さんは次のように言っています。
「どの登場人物にも愛を感じる。感情を汲み取れるからリアリティがある」
確かに橋本さんは、この本の中でもどの人に対しても愛のある受け答えをしているし、
この「バカ」という言い方も、「愛すべきバカ」というようなニュアンスで使っているように思われました。
そして本書の巻末ページにはこんなものが。
そしてもうひとつ。人生相談ではないのですが。
重松 清『ビタミンF』(新潮文庫 2003年)直木賞受賞作品
中年世代の主人公たちはそれぞれいろんな問題を抱えているのだが、ある出来事をきっかけに前に進むことになる小話集。
10年くらい前に読んだ本ですが、1話1話、読んだ後がスッキリ爽快な感じになれたのは覚えています。
まさに本からビタミンをもらったような、ちょっとだけ元気になれるような、いい本です。
しかもその問題というのが家庭のことだったり自分自身のことだったりとわりと身近で想像しやすい。
こうして書いている間に、また読みたくなってきました。
本はいいものですね。心の栄養。本大好き。