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先日、1月7日に多気町は国の「スーパーシティ構想に挑戦します」という旨を公表しました。
スーパーシティ構想って何?
スーパーシティ構想は国が推し進める国家戦略特区制度の一つで、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)などの先端技術を活用して、医療や交通、観光などの生活全般にまたがる複数の分野で、便利で暮らしやすいまちの実現を目指すものです。
国の例示では、自動運転車による移動やドローンを使った配送サービスなどが列挙されていますが、必ずしもこれらの取り組みに限定される訳ではなく、住民目線での地域課題の解決や利便性向上を目指したさまざまな取り組みが想定されます。(2030年頃の実装が目標)
今後、この構想に周辺自治体と共に応募予定のため準備を進めています。
多気町ホームページ (最終閲覧日:2021年2月2日) https://www.town.taki.mie.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=1727
そもそも国が進める国家戦略特区というものは?
「国家戦略特区」は、“世界で一番ビジネスをしやすい環境”を作ることを目的に、地域や分野を限定することで、大胆な規制・制度の緩和や税制面の優遇を行う規制改革制度です。平成25年度に関連する法律が制定され、平成26年5月に最初の区域が指定されました。
内閣官房内閣広報室(最終更新日:平成31年3月19日)
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kokkasenryaku_tokku2013.html#:~:text=%E3%80%8C%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%89%B9%E5%8C%BA%E3%80%8D%E3%81%AF%E3%80%81,%E3%81%8C%E6%8C%87%E5%AE%9A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
つまり、簡単に言うと、「地域の仕組みをガラリと変えて、人やお金を集める」ことを国が進めているというものです。あの「アベノミクス」では成長戦略の柱として「第三の矢」に盛り込んでいた政策です。
ただ、それ以前の基盤である「構造改革特区」は平成14年(2002)。次の「総合特区」は平成23年(2011)。そして「国家戦略特区」が打ち出されたのは平成25年(2013)。その間にも時代は流れ、国際社会は目まぐるしく変化しました。
世界の動きはどうなってるの?
たとえばスペインのバルセロナ市。駐車場やゴミ収集箱の空き状況を検知し、市民にその情報を提供することで効率よく配分させ、収益を上げるようにしました。こちらはなんと2000年に実現。
中国の杭州市では、2016年に入れた都市管理システムにより、道路のライブカメラ映像に異常があった際、AIが自動で警察に通報したり、交通状況を見て信号機を調節したりして、交通違反の摘発や渋滞の緩和に成功しています。2013年に電子決済の規制が緩和されて以降、急速に電子化が進み、2017年には無人コンビニでの顔認証による買い物ができるまでになりました。というのも、杭州市には中国No.1のオンライン決済サービス、アリペイを提供しているアリババグループの本社があり、乗り物を使ったり買い物をしたりするにも、今や基本アリペイのQRコード決済で行います。杭州市は浙江省の省都で、浙江省としては2022年までに省全体規模での電子化を完了させるとしています。
日本ではこのような背景から令和元年(2019)、政府はスーパーシティ構想に向けて動き出しました。
近年、AIやビッグデータなど先端技術を活用し、都市内の様々な事業やサービスに共通に使用できるデータ基盤を整備することによって、社会の在り方を根本から変えるような都市を設計する動きが国際的に急速に進展しています。こうした状況も踏まえれば、大胆な規制改革等によって、世界に先駆けて未来の生活を先行実現する「まるごと未来都市」を目指すスーパーシティ構想の実現を図る必要があります。
地方創生推進事務局 (最終閲覧日:2021年2月2日) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/supercity_sckoubo.html
スーパーシティ構想が実現するとどうなるの?
内閣府が動画でわかりやすく説明しています。
杭州市ではもはやこれに近いシステムが導入されており、親の医療費を子供が支払うことを選べるようになり、お年玉のやりとりまで電子化されてきています。
多気町はVISONでスーパーシティ構想を実現できるか?
日本では去年、法改正手続きを終え、指定区域の公募を始めました。多気町はこれに応募したのです。
令和2年10月30日時点での自治体アイデア公募の結果、57の団体から応募がありました。
公募の締め切りは3月26日で、春ごろに指定区域が発表される予定です。
多気ではVISON(ヴィソン)が建設中で、この春から順次オープンしていくようですが、そこにこのスーパーシティ構想が入ってくるとなると、さらに魅力的なものになって関心を呼ぶのではないかと期待してしまいます。
この記事を書いていて知ったのは、意外と身近なところで和歌山県のアドベンチャーワールド。
NECは顔認証システムを開発して、2019年1月から「IoTおもてなしサービス実証」を始めました。空港も含めた地域全体での導入。おそらくインバウンド(訪日旅行)を対象にしたものなのでしょう。ここも「スーパーシティ構想」に応募しているようです。
アドベンチャーワールドはパンダの飼育が有名な動物園で、数年前に行きましたが、また行ってみたくなりました。ぜひそのキャッシュレス・ハンズフリーな旅行を体感したいです。
ダーウィンの名言に学ぶ
時代はホントに急速に変化しています。
『進化論』を唱えたダーウィンの名言があります。
生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。
It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives. It is the one that is most adaptable to change.
Charles Darwin 『On the Origin of Species』1859
コロナ禍、情報社会、国際社会、いろんな観点から見ても、私たち人間、日本人、自分自身の真価が今、問われている気がします。
ついていくのも大変ですが、なんとかがんばって「進化」していきたいですね。