田舎に住み始めて早くも14年が経ちました。土地の人には、
「いやいや、ここは田舎とはちゃうやろ~(?)」
と言われるかもしれませんが、正直な話、多気は都会に比べたら相当田舎です。
はい、私は東京出身。noriとは大学で知り合って、ここ三重まで来てしまったわけです。
周りの人にはかなりのモノ好きだと言われました。いわゆる若気の至りでしょうか?(^-^;
それでも14年経ってしまいました。早いものです。
まだまだ若造に何がわかるか、という年数でしょうが、少しは話せることもあるんじゃないか、と思います。
そこで引っ越ししてすぐに感じたことや、今だから思うことなどを書いていきましょう。
「空がきれい」
東京の空は紫色です。地平線のあたりが特に紫~灰色っぽい。マンションのバルコニーから眺めたとき、いつも思っていました。なんで紫なんだろう?と。大量の化学物質のせいか、熱のせいか、何なのか。検索しても簡単には出てこない。出てきたのは『智恵子抄』。
『智恵子抄 ―あどけない話―』(著者:高村 光太郎)
智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。
いつ私がこの詩を初めて目にしたのかは覚えていませんが、智恵子のいう「ほんとの空」を見たいという気持ちはあったかもしれません。
それでも結局のところ、東京で見慣れた空もその他の地域の空も、「ほんとの空」になるのでしょう。
空はつながっているのですから。
確かに多気に引っ越して、空が青くてきれいだなぁ、と感じたことはたくさんあります。でもそれは、東京以外の場所へ旅行に行って感じたのと同じで、三重だから特別、というものではないと思います。
空だけでなく、道にしてもそうです。
峠の道や田んぼが広がった道なんかを運転していると、ふと「私はいったいどこに来ているのだろう」と思うことがあります。そういう、首都圏以外では「当たり前」な景色が目に入ってきたとき、私にとっては長いこと「当たり前」ではなかった景色なせいか、自分はずいぶん遠くへ来てしまったものだ、と感じてしまうことがあるわけです。
引越ししたての頃は、この感覚がとても強かったですね。それは自分にとって紫色の空が「ほんとの空」だったから。環境の違いに慣れないせいだったから。
今でも時々感じますが、年々馴染んでそのうちそんなことも思わなくなるのでしょうか。
それでも空や道に「ほんと」も「うそ」もありません。
すべて「ほんと」です。そしてつながっています。
要はそのことを受け入れるか拒むか。それだけなんだと思います。
「星はたくさんあるものだ」
学生時代はクラブやゼミで日本の各地を旅しました。北海道の満天の星空は素晴らしくて、感動のあまりしばらく動けませんでした。
三重ではそこまでの感動はなかったんですが、星がたくさん見えるんだ、ということよりも、
夜が暗い!!
ということに驚きました。
東京は街の明かりがあり過ぎて、星が見えにくいです。
三重でも、プラネタリウムに行って知りましたが、街の明かりで多少は見えにくくなっているようです。(考えてみれば当然のことなんですが(^-^;)
「この辺りの街の明かりを消してみますね~」というアナウンスのあと、確かに星空がより鮮やかになりました。Σ(゚Д゚)
外にいても明るく感じないのにまだ消せる明かりがあったのか、と思うほど、暗いです。
それで日々過ごしているうちに、仕事帰りなどふと空を見ると、あるんです!星がたくさん!
いや~、肉眼で星座の観測ができるなんて思いもしませんでした。
「星座表」というスマホのアプリで、天球の星座がARで表示されるんですが、これはすごいですよ!
ただこのアプリ、東京では天球にかざしてもおそらくあまり星自体が見られないんではないでしょうか。
三重では知りたい星の名前がすぐにわかる。こんな素晴らしい場所にいる、そしてそんな時代にいる、ということ自体が感動ですね。
「鳥は一年中さえずる」「蝶々も一年中飛んでいる」
これは恥ずかしながら、三重に来るまで本当に知りませんでした。
東京では鳥のさえずりなどはスズメやカラスくらいで他にはほとんど聞かないし、蝶々も公園に行かないと見かけない。西東京ならあるかもしれないけど、23区内でそれはめったに見られないでしょう。
それが多気では家にいて普通に聞こえてくる。
まずはさえずりがあることに感激し、どんな鳥が鳴いてるんだろう、と外に出て探すこともよくありました。今も研究中です(^^♪
犬の散歩に行くと、ウグイスがよくさえずっています。またアゲハチョウも普通に家の前を飛んでいるし、シジミチョウやモンキチョウもよく見かけます。蝶々は春に飛ぶイメージがありましたが、年中見られることも新鮮でした。
ついでに言うと、秋の虫の声は素晴らしいですね!「あれマツムシが~鳴いている~♪」の歌通り!お盆を過ぎたころから、夜になると虫たちが鳴き出しますが、9月の合唱は本当にきれいです。
塾生の子どもたちや地域の人と話をしていると、「カエルの大合唱でうるさくて眠れない」「カブトムシやクワガタが家に飛んでくる」などは普通のことで、先日の「手のひらくらいの巨大なクモ(アシダカグモ)を見たことがある」というのも、なんの驚きもなく話をしてくれます。
さらにはヘビ、サル、タヌキ、イノシシやシカなども見かけたことが多いようで、人によってはよく見るそうです。私もこの14年間で、タヌキとヘビ、サルとキジを見ました。都会では絶対にいない動物です。
なんとものどかでいいですね。地球は人間だけのものではないということを、日頃から感じさせてくれる気がします。
「歩いている人が少ない」
まるっきりの車社会。電車やバスなどの公共機関を使うのは、学生くらい。なので犬の散歩やウォーキングをしている人以外は歩いている人をほとんど見かけません。
すると歩いているとかえって目立つような感じになります。まして自転車も目立つ目立つ。
そして車で買い物となると、買う量が多くても気楽に積めるので、ついつい買ってしまいます。
これがよくないですね。無駄のもとです…(笑)
でも小さい子(しかも複数)を連れての移動だと、やっぱり車は便利で安心・安全ですね。
それでドアツードアで車となると、ほとんど歩きません!(笑)
予想通り、ブクブクと順調に体重は増え、産後だからと甘やかしつつ樽《たる》のようになってきてしまいました(;'∀')
いや~、でもホント、都会人のほうが歩きますね。移動も歩きか自転車が多いから、荷物はコンパクトになるし、持てる(積める)分だけしか買わないから節約するし。田舎暮らしに慣れてしまうと、自堕落な生活になってしまうのでしょうか。それともこれは私だけ???
さて、長々と書いてしまいましたが、田舎暮らし、楽しいですね。
結婚したての頃は、カルチャーショックで正直寂しいところもありましたが、
実家が恋しいというよりも、都会の喧騒や文化的施設が懐かしく思われました。
またその話は追々…今回はここまでにしておきます。次回をお楽しみに~!